宝石葬

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「大丈夫、俺もそこまでの努力はちょっと引いちゃってたから。うん、でもぱっと見は自分磨きとかデザイン系の勉強に見えたから理由を知らなければストイックな人に見えてたみたい。理由を知ってもそれが本気だと思う人は俺以外いなかったし。ただ、遺骨ダイヤになるには死後に遺骨が遺骨ダイヤを作る会社に送られないといけない。だから美菜子はもしものための遺言書やエンディングノートを作ってたんだ」 「家族に反対されたとき用ってこと?」 「そういうこと。おじさんは分骨とか遺髪を取るのとか嫌がる人だから。……結局それで衝突して、嫌われたままだけど。あとはさっき話してた通り。ジュエリーが仕上がったら見せにいくのも約束だったからね」 「ふーん」  そのまま二人とも黙り込む。無言で階段を下りて麓の駐車場に着いた。ここから浩輔が運転して実家まで戻る予定だ。  運転席に乗り込んだとき、浩輔はふと思い浮かんだ疑問を助手席の叔父に投げかけた。 「そういえば、そこまで美菜子さんに協力してたってことは叔父さんは美菜子さんのこと好きだったから?だからいまも独身?」 「いや、違うよ。美菜子のことは親愛寄りの友愛、それから共犯者だね」 「共犯者?」  聞き返すと叔父が真面目な顔で頷く。  なぜか背筋がぞわりと逆立つ。 「そう。どっちかが先に死んだら死んだほうが遺骨ダイヤになれるように協力する約束をしてたんだ」  そうして叔父はきれいに笑った。 「だって俺もそれがきれいな最期だと思ったから」
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