宝石葬

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 墓石に反射した日光が目に刺さる。思わず目を閉じると山林から響く蝉の声が余計に耳に衝いた。盆の最初の日とはいえ真夏の正午を少し過ぎた時間帯、山の中腹にある墓場には自分たち以外に人はいない。毎日のように熱中症警戒アラートが出て昼間に外に出ることが自粛されるようになったここ数年、どの家も盆の墓参りは日が傾きだした夕方になっていた。  それなのに浩輔(こうすけ)がわざわざこの時間帯に墓場を訪れたのは理由があった。 「うわ、まぶしっ。グラサン持ってくればよかったか?」 「そうかもね」  隣から上がった声に相槌とじとりとした目を返す。その視線を無視して、ここに来ることになった理由――もとい原因の叔父は目を細めながら墓場を見回している。 「……うん、どこに墓があるかわからないな。ちょっと寺の人に聞いてくる。浩輔も来るか?」 「いや、いいよ。休憩所に屋根と自動販売機あるし。適当に飲み物買って飲んでる」 「おう、わかった」  寺へと引き返していく叔父に背を向けて、浩輔は墓場の入り口近くにある休憩所に足を向けた。木製の東屋の中には家族連れが使っても全員が座れるような木のベンチが二つと自動販売機が置かれている。墓場は寺の裏手にあるから叔父もすぐに戻ってくるはずだ。炭酸系か、それともここに来るために長い階段を上ったことも考えてスポーツ飲料にするか。さっさと決めて少しだけ休もうと思いながら蒸れた空気を逃がすために被っていた帽子を取ったのは東屋の屋根の下に入ったときだった。
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