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「美菜子は幼馴染なんだ。隣の家に住んでて、同い年だから自然と遊ぶようになった」
麓まで続く、長い階段の途中で叔父がぼつぼつと話しだした。
「男と女だから中学生ごろには仲が悪くなるだろうと思ってたんだけど、俺もあいつも鉱石というか宝石が好きでさ。そういうの話せる奴は他にはいなかったからずっと仲がいいままで。……ただ、美菜子の父さんは『宝石なんて金がかかる趣味はやめろ』って美菜子が鉱石図鑑を読むだけで怒る人だったから秘密の趣味だったんだ」
「図鑑もだめとか心狭いね」
「うーん……。おじさん自身、若いころに趣味にお金を使いすぎて困ったことがあったらしいからその影響もあるのかも。子どもにそれを押し付けるなよとは思ったけど。……まあそういう風に押さえつけられてたから美菜子は余計に宝石に夢中になった。で、高校生くらいのころに遺骨ダイヤの存在を知って『死後、遺骨ダイヤになってきれいな宝石たちと同じ存在になりたい』って言うようになったんだ。そこからはきれいなダイヤになれるように骨を丈夫にさせるために牛乳を飲んだり、骨が足りないときに使えるように髪の毛を伸ばしたり、大好きな宝石たちと一緒に一つの作品になれるようにデザイン画を描いたり、まあ他にもいろいろと努力するようになった」
「ごめん、ちょっと訳が分からない」
故人かつ面識のない人物の斜め上の行動に思考が追い付かなくなる。叔父も当時を思い出してか遠い目をしていた。
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