新しい命

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私は、赤ちゃんが、お腹の中にいるとは 思えなかった。 隆一が、エコーの写しを見せた。 「 ほら、へその緒があるよね。二つに分かれている。嬉しいな。 僕と瑠璃ちゃんの赤ちゃんを、両親に 見て貰いたかった。 きっと、驚くと思うよ。可愛いすぎて 」 隆一が、涙を流している。 私は、隆一の膝の上に座って泣いた。 隆一の、寂しい思いが伝わってきた。 ふたりで、しっかりと抱きしめ合った。 そして、結婚式の日がきた。 ドレスの箱を、後部座席に積んだ。 私は、シルクのペタンコの、ブライダルシューズを履くことにした。 カトリック横浜教会の、司祭館で着替えた。 結婚式の前のミサで、神父さまは、こう仰った。 「 一人の人を、愛し続けること。それは、 底はかとない、ロマンだと思っています。 とても、素敵なことです。今日、結婚式を挙げる、新郎、新婦は、ぜひそうあって 頂きたいと、願います 」 「 瑠璃ちゃん、お腹はどう? 張っていない? 大丈夫? 」 「 大丈夫、なんとかなるわ 」 「 僕のお父さんは、お母さんしか、愛していなかった。だから、僕も瑠璃ちゃんだけを 愛していくんだ 」 隆一は、泣きながら言った。
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