43人が本棚に入れています
本棚に追加
私は、赤ちゃんが、お腹の中にいるとは
思えなかった。
隆一が、エコーの写しを見せた。
「 ほら、へその緒があるよね。二つに分かれている。嬉しいな。
僕と瑠璃ちゃんの赤ちゃんを、両親に
見て貰いたかった。
きっと、驚くと思うよ。可愛いすぎて 」
隆一が、涙を流している。
私は、隆一の膝の上に座って泣いた。
隆一の、寂しい思いが伝わってきた。
ふたりで、しっかりと抱きしめ合った。
そして、結婚式の日がきた。
ドレスの箱を、後部座席に積んだ。
私は、シルクのペタンコの、ブライダルシューズを履くことにした。
カトリック横浜教会の、司祭館で着替えた。
結婚式の前のミサで、神父さまは、こう仰った。
「 一人の人を、愛し続けること。それは、
底はかとない、ロマンだと思っています。
とても、素敵なことです。今日、結婚式を挙げる、新郎、新婦は、ぜひそうあって
頂きたいと、願います 」
「 瑠璃ちゃん、お腹はどう? 張っていない? 大丈夫? 」
「 大丈夫、なんとかなるわ 」
「 僕のお父さんは、お母さんしか、愛していなかった。だから、僕も瑠璃ちゃんだけを
愛していくんだ 」
隆一は、泣きながら言った。
最初のコメントを投稿しよう!