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新しい命
次の日、爽やかに目覚めた。
いつものように、隆一が、朝食を作り、ドラム式洗濯機が回っている。
「 おはようございます 」
「 おはよう、瑠璃ちゃん 」
隆一は、いつ見てもイケメンだ。
胸が、どきどきする。特に瞳が透き通って、綺麗だ。
その瞳の奥に、狡さも、嘘もない。
「 あ、じゃがいものバター炒めね。私、大好きよ。あ、いかの塩辛もある。
ありがとう、隆一さん 」
私は、ご飯を三膳食べた。いつもは一膳なのに。
「 瑠璃ちゃん、大丈夫? 」
「 だって美味しんだもん。あ、今日は、いかと里芋の煮ものを作ろ~っと 」
隆一は、呆気にとられて、なにも言わなかった。
そして、ざっとシャワーを浴びて、出勤する。
「 行ってきます。瑠璃ちゃん、なんか異様に綺麗だな 」
「 隆一さんだって。朝、どきどきしたわ。
素敵すぎて 」
隆一は、私の両頬に、あごに、キスをする。今日は、頬を赤く染めている。
隆一は、夜七時に帰ってきた。
「 お帰りなさい。お疲れ様です 」
「 あれ? いい匂いがする 」
「 いかと里芋の煮物の匂いでしょ 」
ふたりテーブルに座って、煮物を食べた。
「 あれ? 美味しい。僕の母の味つけと同じだ。瑠璃ちゃんと、お父さまは、味に敏感
だよね。お継母さんは、悪いけれど、味音痴っぽいな 」
「 そうなの。すき焼きも、甘すぎるし 」
私は、松阪牛の焼き肉、継母から貰った白菜漬け、いかと里芋の煮物で、また、ご飯を三膳食べた。
ストレスのせいだと思っていた。
隆一も、私も、そう思っていた。
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