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それから、つわりなるものが来た。
吐き気と眠気。吐いたりはしない。
いつも気持ちが悪い。そして急になにかを
食べたくなる。
心太、梅干し、子持ち昆布、都こんぶ。
「 四か月までの辛抱です。大丈夫です 」
ドクターは、仰った。
まだお腹は、大きくなってはいない。
エコーに、小さな、小さな、胎児が二人
映っている。
「 父親教室はありますか? 」
隆一は、訊いた。
「 あります。来週です 」
「 僕、参加します 」
「 ぜひ、いらしてください。参加費はかかりませんし、いい体験になります。
妊婦の方の気持ちが分かります 」
「 ありがとうございます 」
産婦人科医院を出た。急に、たこ焼きが
食べたくなった。
皇后雅子さまも、たこ焼きが、お好きと
聞いたとき、とても嬉しかった。
「 あの大きなスーパーなら、たこ焼き屋があるよ。行こう。車の中で待っていて。
僕が、買ってくる 」
隆一は、嬉しそうだ。たこ焼きを二つ買って来た。
「 ごめんね。なにもできなくて 」
「 そんなこと気にしないで。先生は、なにもしない方がいいって、仰ったんだよ。
僕一人で、先生のところに行ったんだ。
なにもさせないでください。そう仰ったんだよ 」
私は、驚いた。
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