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分娩室には、まだ入らない。準備室に案内された。
どんどん、強くなる痛み。隆一は、私と一緒に、呼吸をしてくれた。
立ち会い出産だ。
「 僕が、ついているから大丈夫だよ。僕の休みの日に産まれるなんて、ついてるな。
いや、神様のお恵みだ。イエス様、ありがとうございます。
無事に産まれるように、お守りください。僕の休みの日です。ありがとうございます 」
ソファーに座って待った。
「 さぁ。分娩室に行きましょう 」
助産師さんが、にこにこして、迎えに来てくださった。
「 こちらです 」
下半身が見えないように、カーテンが掛かっている。
「 瑠璃ちゃん、大丈夫だよ。まな板の鯛だと思って、先生や、助産師さんの言う通りに
するんだよ 」
無痛分娩だけれど、痛みはある。
隆一は、白衣を着て、白い帽子を被っている。
それが、面白くて笑った。
「 隆一さん、面白い~ 」
「 そう? 笑って、笑って 」
「 まな板の鯉でしょ? 」
「 いや、瑠璃ちゃんは、鯉のうろこが嫌いだから、鯛だよ! 」
継母は、廊下のソファーに座っている。
「 促進剤を、打ちます。早く産まれると、体が楽ですから。初産ですしね 」
促進剤を打たれると、急に痛みが強くなった。
「 痛い~ 」
「 呼吸して! 」
助産師さんは、真剣に言った。
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