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季節は、二月。寒い、寒い。部屋には
暖房がしっかりとかかっている。
また、促進剤を打たれた。
隆一は、私の手をしっかりと握っている。
「 う~ん、早く産まれてほしい~ 」
その時、ドクターがいらした。
イケメンドクター。
「 そろそろ息んでください。ご主人さま。
しっかりと手を握ってください 」
助産師さんが、四人来られた。
その中のお一人が、小さな、すみれを、持ってきてくださった。
「 こんなに寒いのに、もう咲いたんですよ可愛いでしょう? 奥さまを応援しているんですわ 」
その時、強く、強く、痛みが増した。
「 息んでください。声を出さずに 」
「 瑠璃ちゃん、息んで! 」
精一杯息んだ。
「 はい! はっはっはっ ですよ 」
隆一と一緒に 、はっはっはっと言った。
「 はい! 男の子~ 」
そして、また強い痛み。
「 はい、息んで~ 」
「 はっはっはっ 」
「 はい! お姫さま~ 」
産湯につかる前に、赤ちゃんが二人、私たちのところに、連れてこられた。
「 小さい~可愛い~ 」
「 僕の、僕の、赤ちゃん 」
隆一は、泣きながら、小さな赤ちゃん二人を、抱いている。
私は、くたくただった。
「 イエス様、こんなに可愛い赤ちゃんを二人、ありがとうございます 」
隆一は、双子の赤ちゃんを、私に見せた。
蚊のなくような産声だった。
小さな、小さな、赤ちゃん二人。
隆一と私の赤ちゃん。
隆一と、二人で泣いた。嬉しくて、嬉しくて、たまらなかった。
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