ホワイトムスクの夜明け前

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私は上杉さんの寝顔を見る事が出来て、得した気分だった。 上杉さんは朝飯を作ると言い、キッチンに立っている。 そんな上杉さんを見ながら私は新聞を広げ、ダイニングでコーヒーを飲む。 これも不思議な気分で、上杉さんの言う「疑似恋愛」的なモノなのかもしれない。 私が和食に飢えている事を知ってか、上杉さんはどうやら和食の朝飯を作っている様子だった。 ご飯が炊き上がる音がして、私の前に味噌汁と塩鮭、卵焼きが並ぶ。 そして自宅で作って来たのか、ひじきと漬物が置かれた。 私からすると理想の朝食に近かった。 湯気の立つ白米が私の前に置かれる。 「もしかして、作って来てくれたんですか…」 私はひじきの入った器を手に取った。 「あ、お嫌いでしたか…」 と上杉さんが動きを止める。 「いえ、大好きです…」 そう言って微笑んだ。 間違いなく、昨日も昼間寝る時間を削って作ってくれたのだろう。
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