ホワイトムスクの夜明け前

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食事を終えて、私はコーヒーを飲みながら新聞の続きを読んでいた。 上杉さんは鼻歌を歌いながら食器を片付ける。 時計を見るともう九時を回っている。 私も昨日は夕方早めに起きていたので、そろそろ眠くなってきた。 しかし、上杉さんが帰る前に寝るのも悪いと思い、必死に目を開ける。 食器を食洗器に入れ終え、上杉さんは自分のコーヒーを淹れて椅子に座った。 「今から寝るのにコーヒーってのも良くないですかね…」 上杉さんはそう言うと笑った。 「そうですね…。もっとも私の場合はもういつコーヒーを飲んでも眠る邪魔にはなりませんけど」 と私は新聞を畳んだ。 「けど、上杉さんは今から運転するんで、しっかり目を覚ましておかないと…」 私はそう言って微笑んだ。 上杉さんは、その言葉にニッコリと笑った。 そして、 「先生、一つ相談がありまして…」 と言う。
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