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以前の担当編集者はこんな細かい部分までどうこう言って来る人では無かった。
しかし上杉さんは、この辺りの細かい表現にかなりうるさい。
それで私の作品は少し精錬されて行った気がする。
上杉さんはブツブツと原稿を読みながら、またリビングへと戻って行った。
こんなやり取りをしながら朝まで原稿を書く。
上杉さんとのやり取りにタイムラグが無いので、その分は楽なのだが、たまに、書いている勢いを殺してしまう事もある。
それはどっちが良いかという話にしかならないのだが。
「先生…」
数分の経たない内に上杉さんがまたやって来る。
「はい…」
私は顔を上げて書斎の入口に立つ上杉さんを見る。
「少し休憩しませんか」
と私を見て微笑んでいた。
モニターの隅に表示されている時間を見ると一時を過ぎていた。
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