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娘が孫たちと起きてきて、裕太くんの顔を見るなり鬼の形相になる。
「何しに来たの?」
怒気を隠しもしないその言い方に、我が娘ながら呆れてしまった。
むしろ、よくこんな娘と一緒に居てくれるものだと裕太くんに感謝しかない。しかも、
「ほら!子供たちも居るんだから!朝からピリピリしないの!ご飯よ!冷めちゃうから顔と手を洗って早く座りなさい!」
妻はそんな娘を前にしても、いつもの調子でその肩を押して居間から出す。
感心すると同時に、走って行った孫たちと見えなくなった妻と娘の姿を確認してホッとしてしまった。
「すいません。本当、ご迷惑をおかけして」
「いや、むしろ娘があんな調子で申し訳ない」
謝られてその下げられた頭を起こしてやる。
「いえ、紗里はいつも家のことも子供たちのこともしっかりやってくれています。僕が不甲斐ないばっかりに……僕のフォローもたくさんしてくれているのに誤解させて傷つけたのは僕なんで」
どれだけいい子なんだ、とむしろこっちが頭を下げたくなった。
娘には勿体ない。
だが、こんな子だから、娘とも今までやってきてくれたのだろう。
「苦労かけるね」
「僕の方がいっぱい迷惑かけてますよ」
無理矢理こたつに入れてやると、裕太くんは困ったように笑った。
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