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嵐が去る
「健太〜!康二〜!」
明るくて優しい声に一瞬誰の声かわからなかった。
裕太くんの隣で笑顔の娘。
娘たちの元へ走っていく孫たちの後ろ姿を見てまた二人が泥だらけなことに気付いた。
マズい。また怒られる。
怒鳴り声を覚悟したが、そんな声は飛んで来なかった。
「じぃちゃんといっぱい遊んだのー?」
「すっげぇんだよ!白菜って葉っぱにトゲがあるの!」
「そうなの?」
「いた!ってなるよー!」
キラキラした目で話す孫たちに優しい目を向ける娘。
裕太くんもしゃがんで孫たちの顔の泥を拭ってやりながら四人は穏やかに話をしていた。
「もう大丈夫でしょう?」
隣に妻が来ても幸せそうな四人から目が離せない。
「何をしたんだ?」
「んー?ゆっくり話をしただけよ!」
笑って妻は四人の方に歩いて行った。
「ほら!冷えたでしょ?着替えてちょっと温かいものでも飲みましょう?」
娘たちに声をかけてから振り返って俺にも手招きをする妻。
偉大過ぎるその姿に俺は感謝しかなかった。
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