娘と孫の襲来

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娘と孫の襲来

「うぇ〜いっ!これはオレの〜っ!」 「こらっ!健太(けんた)康二(こうじ)にも一つあげなさいっ!」  子供の叫び声と泣き声、そして、娘の怒鳴り声に眉をひそめる。  定年後、憧れの田舎暮らしをするために自宅を売り払って隣の家が何とか見える程度の山で妻とのんびり暮らし始めて二年。  最初はスーパーが遠いだの、不便だの言っていた妻もやっと暮らしに慣れ、二人で畑で食べるのに困らないくらいの野菜をのんびり作る緩やかな生活。 「お父さん!見て!この大根の形!ヒドいわぁ!」 「お前に似てるじゃないか?」 「じゃあ、このお腹の大きいのはあなたってこと?」  今までならケンカになるようなこともなぜかここでは二人で笑えた。  このまま穏やかに、日々暮らしていって……  そんな願いは今朝、打ち砕かれた。
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