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「本っ当!!信じられないっ!!」
座るなりドンッとテーブルを拳で叩く娘。
「絶対浮気でしょ!?あり得ないでしょ!?」
困ったように娘の隣に座って妻は背中をさすっているが、俺はぼんやりと庭ではしゃぎ回っている孫たちに目を移した。
仕事をしていれば女性の連絡先を知ることはあるし、カフェで二人で居るくらい……打ち合わせだと言うなら信じてやればいいのに。
泣き出した娘の声を聞いて耐えられず、俺は縁側から外に出た。
「健太!康二!じぃちゃん、畑行くけど一緒に行くかー?」
「「いくーっ!!」」
小学二年生の健太と保育園年長の康二。
二人は声を合わせて跳ねるように走ってきた。
都会のマンション育ちの孫たちだ。
こんな山の中なんて何もかもが珍しいのだろう。
「すっげー!」
健太が言えば
「すっげー!」
康二がすぐに真似をする。
健太に大根を抜かせてみれば、うまく抜けず康二も見様見真似を始めた。
少し手を貸してやると二人で「う〜ん!」と唸って二人で抜けた大根と共にひっくり返る。
「でっけぇ!」
「でっけぇ!」
すぐにまた二人で笑った。
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