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「ちょっと!もう!二人とも泥だらけじゃない!お父さん!何、させたのよ!」
大根を抱えて帰ってきた健太と康二を見て、娘は眉を吊り上げる。
あまりにもの形相に「その顔、鏡で見てみるか?」と言いそうになって口を噤んだ。
笑わせるどころか更に怒鳴られる結末しか想像できない。
旦那が家を避けたとしても、こんな鬼嫁……その気持ちも何となく理解してしまう。
「本っ当!手間ばっか増やして……余計なことしかしないんだから!」
キッと睨まれて心の中だけでため息を吐いた。
「健太と康二は喜んでたぞ!」
そんなこと言ったら火に油を注ぐ。
「そんな言い方するから……裕太くんも大変だな」
旦那のことを理解しようものならどうなることか。
妻は苦笑いをしながら健太と康二から大根をもらって風呂の準備をしに行った。
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