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娘と裕太くんが話をする間、俺は孫たちと庭に出た。
子供たちにあんな醜い姿は見せるべきではないだろうし、こういうのは俺が居るより妻に任せておいた方がいい。
「じぃちゃん!これ、何ー?」
健太が指さすのを見て康二も走ってきた。
「知らないか?収穫してみたらわかるだろ?」
言いながらしゃがんで周りの葉を開いて折る。
「え!?白菜!?」
「はくさーい?」
二人の声を聞きながら鎌を手にすると、興味津々で健太が葉っぱに手を伸ばした。
もちろん康二も真似をする。
「痛っ!!」
「いたーい!」
慌てて手を引っ込める二人。
「何かが噛んだ!」
「かんだ!」
笑いながら鎌を戻すと、俺は一枚葉をちぎった。
「よく見てごらん」
見せてもさっき痛い思いをしたからか、健太も康二もためらうようにこっちを見るだけで近づいて来ない。
「虫は居ないから。大丈夫だ」
笑うと健太がそろりと近づいて来た。
その真似をしてやはり康二もそっと近づいて来る。
「見えるか?」
葉の裏側を見せてやると、健太は俺の横にしゃがんでじっと葉を見つめた。
「あ、トゲがある!」
「トゲある!」
康二からはよく見えていないだろうが二人の頭を撫でてやる。
「知らなかっただろ?また一つお利口になったな!」
笑うと、健太と康二も一緒になって笑った。
青い空の下。
空気はかなり冷えているが楽しくて、その後も目一杯孫たちとあれこれ言いながら散策をした。
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