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「あっはっはっ!! 何、そんな怖い顔してんだよ!!
俺だよ!俺!!久しぶりじゃねえか!!ブー太郎よ!!」
その豪快な笑い声は、深夜の街中の隅から隅まであっという間に拡がっていった。
「あ〜〜〜〜〜、何だ〜〜〜。お前か!!ったく、てっきりまた新手の敵でも現れたのかと思ったぜ。びっくりさせんじゃねえよ!ゴンタベアよ!!」
共に二メートル近い巨体同士の、豚と熊が熱い抱擁を交わす。
そう、かつて初代パンダことリャオロンと連んで、アウトレット内で散々悪事を働いた、gont-bellのマスコット、ゴンタベアであった。
1分近くは、熱い抱擁を続けたであろう、ゴンタベアとブー太郎は、一旦少しばかり離れると、まじまじとお互いを観察した。
その後、第一声を発したのはブー太郎の方であった。
「で、でも、お前……、確か、普通のクロクマに戻っちまったんじゃねえのか?リャオロンがそう言ってたぜ。」
「あいつ、そんな余計なこと言ったのか。まあ、確かにあの動物園で暮らしてた時、例の竹の花の効果が無くなって元のクロクマに戻ったのは事実なんだけどよ。リャオロンの奴、けっこうおっちょこちょいだからな、奴が持ってた竹の花を幾つか隙を見て盗んでおいたんだ。
あっはっはっ!多分、あいつ気づいてないと思うぜ。」
豪快に笑い飛ばし、自慢げに話すゴンタベアを前にしてブー太郎はまだ納得いかないといった表情だ。
「で、でもよ、一旦は普通のクロクマに戻っちまったんだろ?それで、同じ仲間がいる獣舎に移動させられたって聞いたぜ。それで、何でまた竹の花を食べちまったんだ?そのまま、普通にクロクマとしていた方があの動物園でのんびり過ごせたんじゃないのか?」
だが、しかし。
ゴンタベアは、少し俯き加減で首を横に振った。
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