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「なになに、お出汁の香りする!」
「鼻が良いね」
キッチンを覗うとたかみんはどんぶりに薄いおつゆと真っ白なうどんを盛っている。
「おうどんだ!」
「ネギは入れていいんだっけ?」
「今日は大丈夫な日だよ」
「じゃあ入れるね」
刻まれた青ネギと大葉、ミョウガ、かつお節、たっぷりの大根おろし。仕上げにすだちを絞って「はい、完成」とお盆にのっけた。爽やかな香りが鼻に。右上の小皿にはたくあんとしば漬けがちょこんと添えてある。
「わあ」
「持っていっていいよ。お茶でいい?」
うん、と元気よく頷いて二人分のお盆をテーブルへ運ぶ。
「たかみん待っててくれたの?」
「うーん、なんだかんだ食べる時間を失っちゃって」
お茶を淹れながらたかみんは苦笑いする。こういうときは嘘だ。ユキだって3年も一緒にいればわかるもん。たかみんも大人だし、言えないことくらいあるよね。
「お風呂は入った?」
「うん、先もらった」
ユキみたいになんでもかんでも話すタイプじゃないのはわかってるけど。
「そっか」
もう少し頼ってほしいというか……いやいや、どうでもいいって。たかみんにばれないようにぶるると頭を震う。
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