大切な人へ――

門出

「本当にお綺麗ですね、新婦様」
「ええ。ありがとうございます、本当に。この子がこんな立派になるなんて、感動です」
　新婦の母親がウェディングプランナーにお礼を言いながら、新婦を見つめる。
「幸せになるんだよ？」
「えぇ」
　レースダウンすると、新婦は新郎の元へと歩き出した。
　その姿は優美で、会場の人々を魅了するほどだった。

　結婚の誓いや、各両親への言葉も終わり、次は新婦の友人へのメッセージに移った。
「では、新婦彩芽さん、ご友人へメッセージを」
　マイクを手渡され、新婦は立ち上がった。
「皆様、今日はお越しいただきありがとうございます。私の大切な友人へメッセージを送ります。もう今はいませんが、きっと向こうの世界でも見ていると確信いたします」