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第9章 キンギョソウ(3)
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「えーと、こっちかな…っと……」
「おい、どこ向かってんだよ」
「秘密です」
前を行く男二人の会話が風に乗って聞こえてきた。私と蓮乃愛ちゃんはその少し後ろから二人の後をついていった。なんか結構仲良さそうだ。
「なんでだよ。教えろよ」
「嫌です。確証がないので。恥をかくのは嫌なんですよ」
「へっ。やっぱ自信ないんじゃんかよ」
「…っていうか随分生意気ですね。敬語くらい使ったらどうですか?」
「お前なんか尊敬できねぇよ、ば~か」
「小学生か。いや、小学生か……」
…あまり仲良くはないみたいだ。というか森永君がけんか腰だ。緑川の方が我慢していると言えるだろう。
「ね、森永君って誰に対してもあんな感じなの?」
私は隣の蓮乃愛ちゃんに聞いてみた。
「うーん…あそこまでじゃないはずなんだけどなぁ…。結構乱暴だけど頼りになるんだよ?今日だってどくろじじいが私に向かってどくろを渡してきた時も私の前に立ってどくろ受け取ってくれたし…」
「へぇ、すごい勇気あるじゃん。前から仲いいの?」
「ううん。前は私の名前をからかってきてたんだけど、私が言い返したら驚いたみたいで…そこから仲良くなったの」
「ふぅん……」
なるほどねぇ…。そういうことかぁ…。
「お姉ちゃん?どうしたの?」
私が一人でニヤニヤしていると蓮乃愛ちゃんが不思議そうな顔で聞いてきた。
「あぁ、ううん、なんでもない」
顔を戻すと先を行く男二人はまだ言い争っていた。
「っていうかいい加減絡んでくるのやめてくれません?鬱陶しいんですけど」
「だって緑川答えてくれねえじゃん」
「『さん』ぐらいつけろっての」
…仲良くなってる?のかな?これ。緑川もいい加減うざいのか時々素の態度でしゃべっている。今までにないタイプだ。
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