第10章 マツカゼソウ(3)

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第10章 マツカゼソウ(3)

「まぁとりあえずわかるものから行きましょうか」  まずは一番最初のこれ、と言って一番左の花を手に取った。枯れているが、まっすぐな茎に青い花がついているのがかろうじてわかる。これって……。 「確かこれカキツバタってやつじゃないですか?なんか有名なやつ」  実物、ではなく、美玖のスマホの写真を見て玲奈がそう言ったが緑川が首を振る。 「惜しいですね。花崎さん?」 「えっと…アヤメですかね」  正直アヤメとカキツバタで自信はなかったが、カキツバタじゃないと分かったので強気に言える。 「はい。かろうじてアヤメの網目模様が見えます。スマホの写真でもそうですし。これはアヤメですね」  花びらに網目の模様があるからアヤメというんですよ、と緑川は二人に説明した。 「次はこれですね。この白色だっただろう花。花崎さん、わかります?」 「えっと……どこかで見たことがあるような……」 「さてわかりますかねぇ…」  ニヤニヤしながら緑川が言った。スマホの写真を見るが、思い出せない…。 「すごい変な形ですね。なんかしっぽみたい」  玲奈がそう言った瞬間ひらめくものがあった。 「トラノオ!!なんとかトラノオ!」 「お、正解です。これはオカトノラオですね。片桐さんが言ったように虎のしっぽに見えるから『虎の尾(トラノオ)』という名前が付きました」 「へー面白いですね」  美玖がそう言ってオカトラノオをしげしげと眺めた。 「ふふっ面白いでしょ?さて三番目は…わかりますか?誰か」  緑川が私たちをぐるりと見て言った。赤黒い葉っぱにしおれたピンク色の花がついている。この三つ葉の形は…。
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