ねえ、お父さん

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 自分で面倒みるなんてまっぴらだ。  アルコールの取りすぎなのか、最近ではトイレが間に合わない事もあるらしい。  父の下の世話なんて真っ平だ。虫唾が走る。  母の生命保険を当てて、二日に一回で家事代行サービスを契約した。  さすがにあの汚部屋は申し訳なかったから、契約前に最低限の掃除はした。  これで今度こそ、平穏が訪れるはず。  ところがすぐに問題を起こした。  あろう事かセクハラ。いい年して、まだそんな欲があるの……  ますます嫌悪感がつのる。  幸い、相手の方が軽く触られただけで今回限りならと、大事にならずにすんだ。  とはいえ申し訳ない。あんな変態老人に触られたら、さぞかし気持ち悪かっただろう。  私は面倒をみたくない。絶対に。  なので、今度は男性のスタッフで依頼した。  自分より若く、力もある男性。  負け惜しみのように暴言は吐く日々だったらしいけど。だいぶおとなしくなったとの事だった。 「本当に、手がかかるよね」  お酒の飲み過ぎで、病院に運ばれる事も何度もあった。都度、呼び出されるのだ。  結局、家を出たところで、『親子』というしがらみは切れないのだ。  切るためには……
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