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静かな薄闇(うすやみ)の部屋に2人。重ねた唇を離す。快斗(かいと)の優しい手が私の頬を包み、泣きそうな優しい笑顔でゆっくりと瞬きをする。頬に当てられた快斗の手に自分の手を重ね、私もゆっくりと瞬きを返す。 初めて体験する痛みに涙が溢れた。私の叫び声は快斗には聞こえない。力いっぱい抱きしめた快斗の背中に爪を立てると、快斗は身体を離し私の顔を覗き込んだ。 "藍那(あいな)?大丈夫?" ぼんやりと見える手話と、快斗の顔に胸が震えた。 痛みの涙はもう幸せの涙に変わっていて、ただただ彼が愛しくて(たま)らない。私は大丈夫の代わりに頷いた。心配そうな快斗の頬を両手で包み引き寄せる。静かで温かい幸せな時間。 重ね合わせた手を強く握った。大好きだよ。大好きだよ。 言葉なんていらない。 横になったまま向かい合う。快斗の右手を掴み、中指と薬指を折り曲げた。 "I LOVE YOU" 快斗の顔を見ると優しく笑って、中指を伸ばし人差し指とクロスさせた。 "何?" 快斗はそのままその手を伸ばし、私の頭を撫でた。
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