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2
静かな薄闇の部屋に2人。
重ねた唇を離す。
快斗の優しい手が私の頬を包み、泣きそうな優しい笑顔でゆっくりと瞬きをする。
頬に当てられた快斗の手に自分の手を重ね、私もゆっくりと瞬きを返す。
初めて体験する痛みに涙が溢れた。
私の叫び声は快斗には聞こえない。
力いっぱい抱きしめた快斗の背中に爪を立てると、快斗は身体を離し私の顔を覗き込んだ。
"藍那?大丈夫?"
ぼんやりと見える手話と、快斗の顔に胸が震えた。
痛みの涙はもう幸せの涙に変わっていて、ただただ彼が愛しくて堪らない。
私は大丈夫の代わりに頷いた。
心配そうな快斗の頬を両手で包み引き寄せる。
静かで温かい幸せな時間。
重ね合わせた手を強く握った。
大好きだよ。大好きだよ。
言葉なんていらない。
横になったまま向かい合う。
快斗の右手を掴み、中指と薬指を折り曲げた。
"I LOVE YOU"
快斗の顔を見ると優しく笑って、中指を伸ばし人差し指とクロスさせた。
"何?"
快斗はそのままその手を伸ばし、私の頭を撫でた。
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