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*女*
「…今のが鬱病の原因。」
男は何も言わず、元の座っていた場所に戻った。
しばらくして男が立ち上がり、コップに水を入れ、チェストの上に置いてあった薬袋を持ってきた。
「胃に何か入ってる時に飲んだ方がいいんじゃないの?」
「あ、ありがとう。」
薬を飲み、また膝に顔を沈めるように丸くなった。
そのまままんじりともせず夜になり、静寂が続く。
アパートも引き払ったし実家もないって言っていたな…。まさかずっといるのかな。
「あのさ…、勝手なことを言うようだけど…。」
ちらりと男を見ると私からは目を逸らした状態で言った。
「この状態であんたを一人にしとくのはまずいと思う。今夜は…ここにいていいかな。」
え、ああ、やっぱりいるんだ。ていうか、私を殺そうとしてたのに心配してくれてるの?
「…追い出す気力もないし、いいわよ。」
私も誰かにそばにいてほしかったらしい。
私はゆっくりと立ち上がって夏用の羽毛布団とブランケット、ストールなどを男に渡した。
「これで寒さを凌いで。」
男は少し驚いた顔をして
「ありがとう。」
と受け取り、それらを体に巻いた。
「座ったまま寝るの?」
「うん、まあ大丈夫だろ。」
そうして、夜が更けていった。
あ、お風呂どうしよ。ま、冬だし一晩くらいいいか。
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