パスタとマヨ焼き

6/6
前へ
/57ページ
次へ
*男*  目は閉じたものの眠れるわけなんかない。  殺そうとした女が心配でそばにいるなんて、俺は結局なにがしたいんだ。  自暴自棄になってはなかった。追い詰められるだけ追い詰められて、それでもそんな俺を俯瞰して見ている冷静な自分がいた。  昔からそうだ。多分、それが自分を守る手段だった。  今回はもうダメだというところまできて、周囲に対する復讐心みたいなものもあって犯罪を犯そうとした。  俯瞰して見ている自分が言う。 『馬鹿げたことだ。』 と。  そうだ、こんなことをしても復讐なんかにはならない。周囲は 『やっぱりな。』 『厄介払いができた。』 ぐらいにしか思わないだろう。  常夜灯のついた薄暗い部屋で、やがてうとうとと眠りについた。
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加