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序
南海にぽつんと浮かぶ島がある。島は小さくなく村や砦がある。
周りは数百kmも海が続いているので交易商人はもちろん旅人も来ない。
「よお、デルゴスフィア」
呼びかけられた異形の竜が青年に振り向く。
竜の種類は骨竜と言って、他の竜からは忌み嫌われる種類だ。
都の学者は不死族だと勝手に分類するが、骨竜は2系統に分かれている。
この竜は不死族ではないほうだ。
青年は竜に食事を与える。
「前は動物肉食い放題だったが、ここの魚も悪くないだろ? 何より健康的だ」
「ガルルル……」
頭に載っている死んだ竜の頭骨が振動でカタカタと音を立てる。
「や、不満なのは分かるが、希竜傭兵団を追い出されちまってな」
青年は希竜傭兵団という組織に居た。
かなり珍しい種類の竜を持つドラゴンテイマーたちが作った自警団だ。
だが骨竜は白竜や紫竜や氷竜などレア種の中でも浮いていた。
「さて、魚取りに行ってくるさ」
骨竜は大喰らいだ。同族すらも食べ、親が食い散らかした骨が子竜の頭にすっぽり嵌る。
そうして骨の載った竜ができるのだが、餌を大量に採ってこないといけない。
デルゴスフィアは主人に早く戻って来いよという表情をした。
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