紫電の輸送屋

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 1週間経過。交易は順調だけど、カランは食べ損ねたケーキが気になる。 「ケーキの島寄っちゃだめかニャ?」 ミライはああそんなこともあったねという顔をして直ぐにうたた寝に戻る。 後部座席は暇だ。 「ケーキに未練はないのかニャ?」 人間は一時ほしい物を食べなくても、他のもので気が逸れると猫族は思う。 「あのケーキは飛行機ロストのトラウマでしかないわ」 そこまで言ってミライはハッとする。 「この航路、もうケーキの島近くじゃない!」 謀られた。この猫ォと言ったところで何ともならないし、寄っていくことにする。 ただ最近治安が悪いらしく、不安が残る。 「治安悪いのニャ?」 「魚人(マーマン)がたくさん出るようよ。着陸した後に壊されなければいいけど」 カランの目はもうケーキしか映っていない。 島の滑空場(グラウンド)が見えてきて、ミライとモリ君は手動で車輪を降ろし始め、ガンという大きな音と共に一斉によろめいた。
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