南海の孤竜

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 アルサスとシエナは顔を見合わせる。 「リリア姉さんのリンゴケーキのことかしら?」 漁を終えていつも午後に紅茶飲みながら食べるケーキのことらしい。 「あれは絶望の洞窟の深層に植わってるリンゴがないと作れないよ!」 滅茶苦茶強い冒険者が深層まで行くと、ちょうど食料がなくなるので食べながら持って帰ってくる。 深層にぽっかり開いた穴の陽光を受けて美味ではあるけど、財宝ほどの価値はないのでリリアに安く売り払う。 結果としてリリアの店に、入手が超難度のケーキが格安で並ぶ。噂にはなる。 「マサルさん帰っちゃったんだっけ?」 なんか平凡そうな名前の人だけど、強い冒険者が帰ってしまって作れないらしい。 「ふふーん、ここにいるは風の申し子、御雷(ミライ)よ! 絶望の洞窟なんか完全制覇!」 (デミ)エルフが強いアピールをしているけど、風なのか雷なのかよく分らない。 「隣島に送る人たちが野垂れ死んでも困るから、デルゴスフィア連れて行ってくるよ」 姫も楽師も洞窟は向いてない。 シエナはじゃモリ君と紅茶飲んでるねと優雅に話した。
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