南海の姫

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南海の姫

 透明度が高くてサンゴ礁が上から見える海を、場違いに見える少女と船で移動している。 まだ幼さの残る声で呼びかけられる。 「ねぇアルサス」 「何でしょう姫様」 船の操縦を任せていて呼びかけてきたのはシエナリント=アルフリードだ。 こんな孤島に姫がいるはおかしいと思うかもしれない。 「今、会話無理かな……?」 「ん……魚群が怖がっている。近くに魚竜か何かいる」 希竜傭兵団は王国の子飼いの組織で、団員は貴族の娘や姫に婚約してもらえる。 ところがアルサスは不祥事で希竜傭兵団を放逐されてしまった。 「言っておきたいことがあるけど後にする」 「魚竜だったら魚追ってるだけだから、話せないことはないかな」 放逐された団員には誰も付いていかないのが恒例だ。 シエナもそうなるかと思ったら、親の言うことを聞かずにアルサスに付いて来た。
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