南海の孤竜

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「フシュウウ……」  デルゴスフィアが静かに洞窟の土に降りたつ。 「羽化……!?」 蝉がさなぎの殻を割って成虫になるように。 骨竜の被っている骨が割れてポトリと落ちる。 少し前の衝突が影響しているのかもしれない。  絶望の洞窟はそれまでの戦いの喧騒から、静寂に変わっている。 召喚陣の悪魔(あくま)は異常に気付き、半エルフ(ミライ)猫族(カラン)から離れていく。 理由はすぐに分った。 「お前……聖竜だったんだな」 洞窟を竜から迸る聖なる光が満たしていく。 召喚陣は全て消え去り、奥のリンゴの木にスポットライトが当たっていた。
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