パティシエショップからのお便り

1/11

9人が本棚に入れています
本棚に追加
/73ページ

パティシエショップからのお便り

 孤島に1軒だけのリリアさんのケーキ屋に、深層のりんごを持って向かっている。  入る前に半エルフ(ミライ)猫族(カラン)には大事なことを言わないといけない。 「リリアの名前、パティシエショップ、綺麗な建物と、本人のイメージ違うから! ……失言しないように!」 ケーキ屋の外観は白い壁に花模様。屋根には(コバルトブルー)(エメラルドグリーン)の鮮やかなタイルが載っている。 入り口は小階段(ステップ)になっていて、扉に付いている呼び鈴は金色(ゴールデン)のベル。 「そうなの……ニャン?」 「どっちでもいいけど?」 カランはイメージにこだわるタイプでげんなりしてるけど、ミライはどうでも良さそうだ。 「ごめんください~」 「らっしゃい!」  入店間もなく威勢のいい声が飛んでくる。 体格は女空賊で、鬼瓦のような四角い顔が乗っている。 孤島の漁師の話し方が移ってしまった口調に、パティシエショップらしさはほとんどなかった。
/73ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加