パティシエショップからのお便り

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 りんごを手渡して加工してもらっている間、半エルフ(ミライ)猫族(カラン)はディスプレイの商品模型を眺める。 悪魔の野菜じゃがいもを使ったグランドポテチや、ベリーのクラフティを思わず手に取りそうになるけど、蝋細工で食べれない。 着色は近いかなと思うけど、細工が下手で芋や果実感はまったくない。 「材料は、深層行って悪魔倒さないと手に入らないんだ」 ミライは食べると魔法力が回復しそうなものを探すけど、どれも保存が効かなくて残念そうな顔をする。 「飛行機乗りはチョコを食べてたっていうけど、カカオなんて手に入らないし」 「いつも何食べてるの?」 アルサスはデザートじゃないけどと前置きして話す。 「ツナ缶かなぁ」 デルゴスフィアの餌の余りを、そこらへんに生えているオリーブの油漬けにして缶に詰めておく。 保存が利くし、周りは海なので魚はいっぱい手に入る。  リリアさんがケーキのリンゴを切ってシロップに漬け終わったらしく、話をしに来る。 「アルサス君、今度親戚に集まってもらって法事をするんだけど、召集状を届けないといけないんだ」 「配達ですか? いいですけど……」 半エルフ(ミライ)猫族(カラン)を見る。アルサスも移動手段はあるけど、この2人の方が専門業務だ。 「まっかせてニャン!」 自信たっぷり。だが猫族(カラン)の目にはドルマークが映っていた。
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