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「あいつら、かっけぇーな」
店の外で様子を見ていたのは、絶望の洞窟の悪魔に雇われていたヴィーンという狼の亜人。
「おやびん、あっくまーさんに頼まれてたのは、リンゴの奪還じゃないです?」
横槍を入れているのは、狼の亜人で子分のポッケ。
あっくまーとは絶望の洞窟の悪魔の親分で、熊の姿に黒い翼が生えている。
ポッケはあの3人を倒さなくても、リリアの店を襲撃すればいいんじゃないかと思っている。
「腕慣らししなくちゃいけなくてな!」
ヴィーンは先の大戦で魔王軍の先発隊で戦って以来、飛行機乗りとしては大部時が経っている。
マニュアル自動車を運転したことがある人だと分かるかもしれないが、しばらくぶりに動かそうとすると動かなかったりする。
「おやびん、大丈夫ですっけ……」
「アルサスの家に停まっているアレを倒すだけだろ?」
ヴィーンはエアリースIIを見たらしい。
あれは空賊レベルの雑魚飛行機だ。乗員の強さは分からない。
でもポッケはヴィーンにいい所を見せてもらう気はさらさらない。
アルサスが、家に戻ると果たし状が差し込まれている。
「何この紙?」
外側には獣人の汚い文字で戦闘依頼と書かれている。
シエナは紙の紐を解いて眺める。
要約すると、ケーキになっちゃったりんごを賭けて戦闘機で一騎打ち。
「デルゴスフィアの出番はないな、よかった」
放逐の身には戦闘など厄介ごとでしかない。
お便りをお届けする前に、別のエアリースIIをレンタルし、居候にヴィーンを倒してもらうだけの簡単なお仕事だ。
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