パティシエショップからのお便り

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 アルサスは審判をしながら、孤島の周囲に広がる青い海に視線を投げかける。 遠く離れた都、政界のしがらみとは無縁で、暮らすものを内包して守ってくれるように感じる。  上空ではミライが雷撃(ライトニング)を放ち、ヴィーンの戦闘機が回避している。 操縦は上手で、ミライの攻撃は案外効いていない。 「カランは飛ぶの早いけど、苦しそうに逃げ回ってるよ……」  カランは耳元を(かす)める銃弾にびくびくしながら、ミライの攻撃を見守っている。 「こんな話聞いてないのニャ!」 銃弾はポッケが撃ち出すもので、ミライが風の精霊(シルフ)の力で逸らしている。 でも当たらない程度にしか逸らしてくれないので、けも耳の耳元を掠める。怖すぎる。 「うるっさい。黙って運転してよ」 魔法を連発すると疲れて不機嫌になる。 元々時速数百キロの機体に魔法を当てるのは達人の域だから、ちょっと相手の格が上がると当たらなくなる。  カランは痛いことになる前に、ミライに何とかしてと訴える。 「接近されてるのニャ!」 銃弾がたくさん飛んでくる戦闘になることは、初めから聞いてない。 承知してないことを伝えることで、ミライに作戦の変更を迫る。 「しょうがない。大魔法使う」 ミライは疲れ果ててしまっても構わないと覚悟を決めた。 大魔法は数キロの広範囲に広がるから、時速がいくらあっても関係ない。
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