パティシエショップからのお便り

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 エアリースIIに燃料を入れ、1時間くらい東に飛ぶと都に着く。 リリアさんの親戚のおじさんの家はすぐに見つかり、お手紙を渡す。 「これはこれは、遠い所から……何の用件じゃろ?」 おじさんは無造作に封筒を破いて中の紙を取り出して読みあがる。 「リンゴケーキ出来ました。食べにきてくださいだそうじゃ!」 カランもミライも顔を見合わせる。法事じゃなかったのかとアルサスの方を見る。 アルサスも首を横に振る。 「うぉっほん。分かっとる」  おじさんは咳払いを1つする。 「それは実は暗号のようなものじゃ。うちのかみさんは法事が嫌いでな。」 リンゴケーキ試食会をメインに、ついでとして法事が開かれる。 「じゃ、わたしたちがリンゴを取れなかったら……?」 おじさんはがははと笑いながら答える。 「来年に延期するだけじゃな。隔年に1回はマサルさんが来るじゃろ」 採れた年だけ開くとはなんといい加減だと3人は思った。 ご先祖様は浮かばれない。  家を後にして街の時計を見る。宿のチェックインの時間には早い。 「こんなに早く依頼が終わると思ってなかったわ」 時間を潰すために都見物をすることになった。
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