シエナ姫の小さな冒険

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 海スライムは海岸に打ち上げられるくらげを主食とするゼリーらしい。 この島では一番弱く、調合の材料のくらげと塩を落としていく稼げる獲物だ。 動物というより有機物。絶望の洞窟のモンスターをバサバサ倒す冒険者と違って、罪悪感がない。 「何で他の人は狩らないんだろうね?」 「塩だったら海水を蒸発させた方が楽で、くらげだったら直接拾えるんじゃない?」 それもそうかと思いながら、ホーリーの魔法で海スライムを蒸発させる。 「魔法力の無駄遣いじゃないのかい?」 たぶん神聖魔法の魔法書は海スライムを倒すためのものじゃない。  孤島海岸は海からの波の侵食で、ぎざぎざな形をしている。 「別名ノコギリ海岸。DIYがはかどりそうじゃない」 リリアさんはどちらかというと、ここでお店の看板作りでもしないはずだ。 「材料持ってくれば、ここで看板の1つくらいできそうだよね」 「工作中、前衛は誰がやるのかい?」 「ううっ……それは……」  海スライムの吐いた液体が降りかかって、リリアさんが木の盾で受ける。 攻撃されてるときは当てるチャンスで、シエナがホーリーの魔法を放つ。 「1直線に2つ並んでると、2つ蒸発できるのが楽しいよね」 落とす材料はもう持ちきれなくなったけど、コンボを楽しむ。意味はない。
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