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長く遊んでいると夕暮れ。
ノコギリ海岸のぎざぎざな地形が、夕日を乱反射してチカチカな景色に変わる。
リリアさんは誘ったときと違って穏やかな表情をしている。
「シエナのお守りよりこの景色が好きで来てるんだけどね」
模写したらりんごケーキの包み紙の模様にいいかもしれない。
店の壁に海岸を描いても映えるかもしれない。
そのチカチカな景色に上空から影が映る。
「あっ、デルゴスフィアが餌を催促しに飛んできてる」
シエナは大事な用を思い出す。
先週獲ってオリーブ油漬けにしている魚を洗って、骨を取って、デルゴスフィアに食べてもらう時間だ。
「明日もよろしくね?」
リリアさんはやんわりと断るメッセージを残す。
「ご先祖様のお迎えの準備あるよ」
「じゃあ、冒険者さん探してみるね」
絶望の洞窟の入り口で張ってれば、誰かに会えるかもしれない。
マサルさんは見かけたら話しやすいけど、この最低ランクな場所はとても頼めない。
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