シエナ姫の小さな冒険

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 孤島には冒険者ギルドがない。そこでよくするのが洞窟の入り口での募集だ。 シエナもアルサスも人つてに聞くだけで実際は見たことがない。 だから募集の仕方は無茶苦茶になる。 「30分10ソライヌ~~~!」 歓楽街の呼び子さんのような募集に、近くにいた冒険者が呆れて声をかける。 「いや、それは違うと思うぞ?」 木切れに海岸で取れるチョークで場所と獲物を書くらしい。 傭兵代金なんて不要。同じ場所でそれぞれが取った物が報酬になる。 「親切なおじさん、名前なんていうの?」 シエナが尋ねると軽いノリで答えが返ってきた。 「ジョー。そうさな、信天翁(アルバトロス)のジョーさ」 今日相方と絶望の洞窟に行く約束だったらしいが、来ていない。1人では狩れない。 ノコギリ海岸に行くシエナにハンマー岩場はどうかと逆提案が飛んでくる。 「えっ……何しに行くの?」 「魚人族(マーマン)の目撃情報……WANTEDを倒せば報酬だが、沸く海スライムが邪魔でな」 魚人族(マーマン)は出るとは限らない。ひたすら待つことになる。 そんな中で海スライムが寄ってくるので相手をしたくないというだけらしい。
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