シエナ姫の小さな冒険

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 複葉機の爆撃は人力だ。 火薬の詰まった鉄の砲弾を操縦していないメンバーが落とす。 「大型機だと、ハッチを開けて機体を傾けるだけなんだけどね」 とにかく精度は投げる人頼みだ。 「剣は得意なんだけど……」 アルサスは投げるのが苦手らしい。 ミライは魔法で何でも解決しようとするし、モリ君は楽器しかできない。 「シエナって釜にポンポン材料を投げてなかった?」 「ええっ、わたし~?」 シエナは皆から依頼されても1時間くらいゴネて、結局ジョーさんが投げることになった。 「なんと普通な……」  砲弾はごく普通に投げてごく普通に当たる。 爆発は見えるけど、岩は少し削れるだけで動きは止まらない。 砲弾が小さいせいだけど、ジョーさんの真下に落としてない投げ方にも問題がありそう。 「駄目そうよ?」 爆撃戦は変更され、いつものミライの魔法頼りだ。 風の伝達(ウィンドボイス)に乗って、地上で待つシエナにまで聞こえてくる。 「我は御雷(ミライ)。名は建御雷の2字を頂いた隼人とユキの子である……」 其は風の化身。 「……風の精霊(シルフ)よ。我の呼びかけに応えよ! ごついやつを打ち払え!」 巨大雷雲(サンダークラウド)が、ロックジャイアントの正面に出現する。
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