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「手伝うのはようござんすが、都の石屋から孤島へ石を運ぶルートは危ないですゼ?」
空賊のひとりがミライの航路案に難色を示す。
確かに空賊の飛行機が大群で都周辺に居れば、討伐隊が出てきそうだ。
ミライはしばらく考えると、先に飛んで都の防衛隊と交渉しにいくことに決めた。
「それで上手く行くんですかねぇ?」
空賊の疑問の通り、ソライヌでは騙し討ちは日常茶飯事だ。
大体ミライが空賊を罠にかけるという疑問だってある。
「じゃ、手付金を先に払っておくわ」
目先のお金に空賊は弱い。
希少で高価なりんごケーキ以外の出費は痛いが仕方ない。
「それにもしも都の防衛隊が裏切ったら、その場で始末する……」
手付金とミライの約束で空賊たちは孤島に石を運ぶ手伝いを決めた。
また飛ぶ支度を始めたミライは大事なことに気付く。
「あー、全員酔っ払ってない?」
手伝いは決まったものの、さっきまで貝殻の麻雀をしていた空賊たちはお酒で出来上がっている。
飲酒運転で隊列飛行は無理だ。
「や、急ぐ話でもないので明日でいいですよ」
アルサスがそう話すと、空賊たちは話の分かるニイチャンだねぇという顔をした。
元々初めからすぐに動く気などない。
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