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孤島のアルサスの家では、人数の増えたぶん大変になったランチやディナー作りが行われている。
「無料飯食らいは禁止ですからね!」
「儂も料理するのじゃ?」
たくさんのロックジャイアント製作は飽きるので、気分転換になる。嫌々じゃない。
ラーラント教授が慣れない手つきでハンマー海老を真っ二つにする。
「切れたらパン粉とマヨネーズ乗せてオーブンにごー!」
モリ君が演奏練習の手を止めて楽しそうだと見ていたら、野菜の束を渡される。
「水洗いして茹でてノコギリウオの刺身と混ぜてマリネにしてね」
シエナが都にいたころは全部召使がやっていたことだ。
漁に料理作りがたいへんということはなくて、こんなに楽しいことを人に任せていたんだという感覚しかない。
「召使のウェリーとモーゼット、どうしているかなぁ」
シエナは解雇というアイディアを首を振って頭から消す。
「家具作りが得意だったから、職人に転職してるかも」
モーゼットの作ったテーブルの上にシエナの料理を並べる。
実現しないことだけど、2人が美味しいと言ってくれる妄想をして微笑む。
「焼けたけど、オーブンから出すのじゃ?」
「ああーっ!!!」
オーブンから焦げた臭いがしてくる。まだ何とか食べられるレベル。
教授は料理素人なので、任せておくと黒こげ海老しか作れない。
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