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アルサスが薬草を採りに行っている間、シエナはダクラ婆さんの所に行く。
婆さんの肌には、病気のサインである白斑がぽつぽつ浮かんでいる。
「今日の漁で見せてもらった本、役に立ったよ!」
「それは良かったねぇ。あたしらには何ら使えない本なのに」
船に絡んできた巨大烏賊の足を切る作業が前回の2倍は早かった。
「図書館を離れる時にもらってきた廃本が役に立つなんてね」
シエナはまだ学校に行く位の年だ。
結婚してもまだ行くつもりだったのだが、アルサスの放逐によってその目的は果たせなくなった。
「ダクラさんの司書の話を聞きたいなあ」
シエナは別の本を見せてもらいながら、図書館員の仕事の質問をする。
「そうね、地域から不要本を回収するんだけど……」
変態魔法使いから、スカートを透明にする魔法の本とかが持ち込まれる。
そんな本は貸し出しすることはできない。持って帰ってくれと言うと、嫌な顔をされる。
「だいたいセクハラじゃないの。断って当然!」
家で置き場がなくなったのは分かるが素直に捨てて欲しいと思う。
シエナは本を読み終わる。次の本を探し始める。
本の装丁は動物の皮でゴテゴテしていて、中にはルーン文字が大量に書かれている。
「神聖魔法の魔法書ね……相当訓練された子じゃないと使えないと思うよ。それより時間はいいのかい?」
シエナは手に取った本を棚に戻す。そろそろアルサスが戻ってくる。
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