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紫電の輸送屋
テラスのあるベージュ色の建物の2階。
半エルフのミライはぼんやりと目の前にある海を眺める。
「まだかなあ」
お供の猫族のカランは噂のケーキを買いに、ミライの飛行機を借りて隣島に行っている。
隣島は片道2時間。
お昼ごはんの時刻に出かけてもう日暮れ。もう帰ってもよさそうな時間が過ぎている。
しばらくすると、煙を吹きながら1機の飛行機が飛んでくる。ミライの飛行機に似ている。
「あっ、あいつ……」
エンジンは水冷式。水を入れ忘れれば当然煙を吹く。
ミライは飛行ギルドの待合室なのを忘れて大魔法の大詠唱を始める。
「我は御雷。名は建御雷の2字を頂いた隼人とユキの子である……」
移動の風魔法なので、風の精霊に名を明かすのだけど、ギルドでやるとかなり恥ずかしい。
「……風の精霊よ。我の靴に飛翼を宿し、あの飛行機へと運び給え!」
身体は重力の影響を受けずに、飛行機に一直線に向かっていく。
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