嘘みたいな本当みたい?!

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「き、きゃあああああ」  地面が何百メートルも下にある。叫び声をあげ、無我夢中でウェインの体にしがみつく。 「お、落ちる、暴れるな!」  ウェインの腕に力がこもり、強く引きつけられる。体が密着すると揺れが止まった。細く目を開けてみると、下に見える砂の大地は迫ってくることなく後ろへと流れていく。ピンク色の空のなかを、あたしたちは前に向かって落ちていくように進んでいく。 「これもあなたの魔法なの?」  ウェインはおかしなものでも見るような顔であたしを見た。 「ただ跳んだだけだ」  その言葉が作用したように、地面がすこしずつ近づきはじめる。 「すごい、こんなに跳べるなんて……」  どうやら墜落はしなさそうだとわかり、ウェインの体を押してすこし離れる。 「降りたら走るんだ。足を動かせよ」 「う、うん」  下を見たままうなずく。近付いてきた地面はものすごいスピードで後ろに流れていく。  先にウェインの足が着いた。まだ空中にいるあたしの手を引いて大きな歩幅で駆ける。飛び跳ねる動物のように一歩で何メートルも進む。遅れて着地したあたしも負けずに走る。だんだんと速度が落ちていって、足が止まったときにはあんなに遠くに見えた王都ティコはすぐそばに見えていた。中央の塔が見上げるほどに高い。 「すごい、こんなに近くまで来ちゃった」  興奮してそう言ったけれど、ウェインは不満そうな顔をしている。 「ミツキが暴れなければ、もっと近づけたんだけどな」 「え、じゅうぶん近くない?」 「まあ、ここまで来たからあと二〇アームストロングってところか」 「それってどのくらい?」  ウェインはあたしの身体を見ると、 「ミツキの足だと、あと二時間くらいか」
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