24人が本棚に入れています
本棚に追加
「地球?」
「あたしはただの中学生で、毎日不幸に見舞われてて、それなのにウェインはあたしをハッピースターだって言って──」
これまでのことを洗いざらい話した。ウェインの魔法でいつの間にか月に来ていたこと、ハッピースターだ、救世主だともてはやされたのに、いざ出発しようとしたら指揮車が壊れて、そのせいで第一隊がモンスターに囲まれて危険な目にあって……。アリスタルコスに着いたら王子ふたりが捕われてしまったこと、助けようと潜り込んだけれど、ライナーとアーキスともはぐれてしまったこと──シラーさんもキースさんも、じっと黙って聞いてくれる。
「あたしは、地球に帰りたいのに……もう……帰れないのかも……」
また涙がこぼれた。またシラーさんが抱き止めてくれた。もう一度、声を殺して泣く。あたしを抱いたまま、シラーさんが「ありがとうね」と言った。
「え……?」
まだ涙の止まってない顔を上げる。
「あたしたちのために、地球から来てくれたなんて……」
シラーさんの目元にもうっすらと涙が出て浮かんでいる。
「必ず地球に帰してあげる。絶対、無事に帰してあげるから」
「はい……」
また新しい涙が溢れた。
最初のコメントを投稿しよう!