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「でも、ミツキちゃん以外考えられないわ」
シラーさんが戻ってきて言った。
「でも、あたしはリグルがどういうものかすらわかっていないんです」
シラーさんはすこし考え込むと、キースさんに向き直る。
「キース。あなたのリグルは本当に回復してないのね」
「ああ」
「だったら……ミツキちゃん、ちょっとゴメン」
シラーさんはそう言ってあたしの手を取ると、目を瞑った。しばらくそうしたあと、今度は腕へ。肩、背中、最後にフードの上から頭を触った。
「間違いない」
シラーさんは目を開ける。
「ミツキちゃん。あなたに触れるとリグルが回復します」
本当か、と驚くキースさんに向かって一度うなずき、
「どこでも回復するけど、頭に触れたときが一番だわ。そのフード、取ってもいい?」
首元の緩い結えを解き、月の布を取り払う。
「素敵ね。黒髪なんてはじめて見るわ」
あらわになったあたしの真っ黒な髪に手を伸ばす。すぐに、おや? と表情を変えた。
「なにか付いてる。石……?」
シラーさんが梳き取った手には親指の先ほどの、金砂を散らしたような青い石があった。ケプラークレーターでケファロックとかいうモンスターが残したものに似ている。
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