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「ライナー! どうしてここにっ!」
突然、聞き覚えのある声に呼ばれた。大勢が溢れかえるなかで、不思議と一瞬で相手を見とめることができた。
「父さん!?」
人波を強引にかき分けて、こっちへ近づいてこようとしている。だめだ、そんな無茶をしたらリグルがっ!
けれど、人の流れを無理やりに突破した父さんは僕を強く抱きしめ、そしてぐしゃぐしゃと髪をかき乱した。
「おまえ、どうしてここにいるんだ。ティコに行って、それっきり便りも寄こさないで」
「ちょっと、やめてよ。リグルはっ! リグルは大丈夫なのかよ?!」
父さんは興奮しているのか、バカでかい声をあげる。
「女神様が現れたんだ。儀式に関係なくリグルが回復するんだ、奇跡だよ」
父さんは集団の後ろにいるミツキ様を振り返る。
「違うよ、ミツキ様は最強のハッピースターさ」
「なんだ、ハッピースターって? おまえ女神様のことを知ってるのか?」
「だって、あのかたをアリスタルコスに案内したのは俺だもの」
あんぐりと口を開け「なに言ってるんだ、おまえ?」と父さんはおかしな物でも見るような顔をする。
「父さんこそ、態度を控えなよ。このおふたりを誰だと──」
話をアルター様に遮られた。
「ライナーの言うことは本当です、お父上。ライナーの案内があったからこそ、ハッピースター様はこの町に入れたのです」
「あんたは?」
「ティコから遠征してきた者です。ライナーのおかげで我々も助かりました」
「そんな、まさか。こいつはまだ、ほんの子どもですよ」
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