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ラモントとかいう執政官の言葉に、あたしは唖然とした。
「神殿の封鎖は私の意思じゃない。王子からの命令だったんだ。アルター王子とウェイン王子が私に命じたんだ」
この後におよんで、めちゃくちゃなことを言い出した。市民からも、出まかせを言うな、と声が上がったけれど、ラモントはしゃあしゃあとつづける。
「私は反対したんだ。だが、王子たちが部隊を派遣してくるというから、仕方なく従うふりをしたのだ」
「嘘をつくな」
「嘘じゃない。神殿の封鎖は、王子たちの目を誤魔化すための見せかけだ。奴らが城壁の外に留まってるのはなぜだと思う。アリスタルコスに踏み入れば袋叩きにあうとわかっているからだ」
市民の反応が変わった。
「私は諸君の味方だ。証拠もある。諸君のリグルを回復させたハッピースター様を連れてきたのは私だ」
はあ?! なに言ってんの、あいつ!
「あの野郎」
ウェインも動きかけたけれど、アルター王子が引き止めた。
「もう少し様子をみよう」
そう言って、あたしとアーキス、そしてライナーにも目を向けた。
ラモントは円柱の上からさらに続ける。
「神殿を封じても諸君のリグルを守れるようにという私の考えにいたく感動されて、加護を約束してくれたのだ。ちょっとした手違いで皆のところに先に姿を現してしまったが、しかしちゃんとリグルを回復させてもらえただろう。そうなるように、私は準備していたんだ」
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