3.対極

3/7
前へ
/17ページ
次へ
1週間経ち、 川瀬の豹変に深く落ち込んだ僕は、 仕事中にスマホからメッセージを送り、 神代さんに助けを求めた。 1秒でも早く、 寂しさと不安を埋めて欲しいと思った。 「私は何をすればいい?葵くん」 退社後に立ち寄ったカフェ、 神代さんの優しい言葉が僕を包み込んだ。 「神代さんは、僕に何をしてくれますか」 震える声でそう問いかけると、 神代さんは僕の手をそっと握り締め、 耳元で囁いてきた。 「葵くんが笑顔になれること、かな」 その言葉の魔力に、僕の心は揺らいだ。 何故川瀬が冷たくなったか知ろうともせず、 文字通り甘い言葉に酔いしれてしまった。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加